初戦(シリアス)

我が名はクロウ。

我はリクレールの命により青年に付き従う事になったトーテム。

「おい」

青年が私に話し掛ける。

「どうした、『ゴンベエ』よ」

青年の名はゴンベエ。

彼はリクレールによりこの地を守ることを願われ遣わされた者だ。

「俺はこれからどうしたらいい?」

ゴンベエは我に問い掛ける。

それもそうだろう。

誰でも見知らぬ世界にいきなり降ろされれば、まずその事を聞くだろう。

「とりあえずはこの森を出て、この近くの街に行くと良いだろう」

「わかった」

青年と我は森を歩き出す。

すると、凶暴な野獣の咆哮が森に響き渡る……!!

そして、茂みから1匹の獣が現れた!

「なんだ!?」

「野犬だ」

現れた野犬は、何かの力によって凶暴化していた。

その野犬の瞳はジッと我らを牽制するかのように睨み付け、
今にも飛び掛らんと言わんばかりに低い唸り声を出し続ける……。

「……どうする?」

「丁度いい、我が戦いの手引きをして進ぜよう」

「わかった」

「まずは剣を抜け!」
我がそう言うと、ゴンベエは腰に挿した剣を抜く。

「これか?」

「そうだ」
ゴンベエはグッと剣を野犬に向けて構える……。

次の瞬間、野犬はゴンベエに向かい襲い掛かって来た!

「!?」
ゴンベエは飛び掛ってくる野犬に対し戸惑い、我武者羅に剣を振るう!

だがそんな攻撃は当たることもなく、野犬は振られた剣の合い間を縫って
ゴンベエに鋭い爪の一撃を喰らわせる!

「うわぁあぁぁぁぁぁーーーー!!」
ゴンベエは引っ掛かれたことにより余計に戸惑い、滅茶苦茶に剣を振るう!

「落ち着けゴンベエ!
 相手の動きをよく見ろ!!」
我はゴンベエを制止すると共に指示を促がす。

「あぁぁ……」
まだ戸惑ってはいるものの、ゴンベエは剣を構え直し相手の動きを見つめる……。

野犬は大きく弧を描くように駆け、再びゴンベエに飛び掛る!

「避けろ!」

「!!」
我の指示に反応し、ゴンベエは野犬の攻撃を受け流す。

「上手いぞ!」

攻撃をはずした野犬は再び勢いを殺さぬよう弧を描きこちらにまた向かい来る!

「今度は避けると共に相手の動きに合わせて剣を振るってみろ」

「わかった」
飛び跳ねた野犬を目で捉え、剣をしっかりと握りなおす……

「今だ!!」
勢いよく飛び掛る野犬を軽くあしらいながら、擦れ違いざまに剣の一撃を御見舞い!!

野犬は血を噴きながらそのまま飛んでいった。

「はぁはぁはぁ……」

振り返ると野犬は地に伏しており、起き上がる気配は無かった……。

「やったのか……?」
ゴンベエは肩で息をしながら問い掛ける。

「ああ、初めてにしては上出来だ」

「そうか……」
ゴンベエはその場に倒れこむ……。

「大丈夫か?」

「まあな……。
 でも、これからはこんな事がずっと続くんだろ……?」

「ああ、そうだ」

「そうか……」
ため息を吐きながら何かを諦めたかのようにゴンベエは納得する……。

「ここにいてはまた野犬に襲われるだろう。
 休むのは近くの街に着いてからにした方がいいな」

「……そうだな」

ゴンベエは重そうにその身を起こす……。

そして我らは森を抜け街に向かった……。